2007/1/21




#19/ストリートの男たち 〜 ハーレムにて























 時々、カメラを首からぶら下げてハーレムを歩く。今どきのライター業、写真も自分で撮らなくてはならないことが多いのだ。昔は写真など、家族や友人とのスナップさえ撮らないヒトだったので、最初は大変だった。実は今でも大変で、被写体がボケていたり、アングルが様になっていなかったりすることも多い。それでも写真撮影には楽しいことも多い。ハーレムでストリート・シューティングを行えば必ず現われるボランティア・モデルもそのひとつだ。



 カメラを手にハーレムのストリートを歩くだけでいい。必ず複数の男性が「ヨー! オレを撮ってよ!」と声を掛けてくる。昼間っからストリートにいるのだから、会社員や公務員 ではない。ベンダー(露天商)だったり、配管工だったり、チラシ配りだったり、はたまたタダの通行人だったり、時には公言できない職種の場合もある。


 こちらが「OK!」とカメラを向けると、彼らは思い思いのポーズを取る。シャッターを押すと、一様に嬉しそうな顔をする。私が頼んで撮らせてもらったわけではないけれど、とりあえず「ありがとう」と言う。すると満足そうにうなずき、仕事に戻っていく。


 稀に「出来上がったら、写真くれよな」という者もいるけれど、本気ではない。皆、代わり映えのない日常生活に、ほんの5秒ほどの変化を取り込み、その瞬間を楽しむためにポーズを取るのだ。


 もしかしたら、私は著名なフォトグラファーで、彼の写真はニューヨークタイムズに掲載されるのかもしれない。または、私は観光客で、家族友人へのメールに貼り付けられて配信されるのかもしれない。はたまた、私はアカの他人の写真などいらないと思い、撮影の次の瞬間にはメモリカードから削除されてしまうのかもしれない。けれど彼らには、そんなことはどうでもいいのだ。


 刹那に、粋なポーズを撮る。
 ハーレムのストリートにて。





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撮影:堂本かおる
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